解析手法

解析条件を固定して実行する軽量なNextflowワークフロー

Harako-nativeワークフローは、検証済みのParabricksアラインメントとQCを実行します。Harakoコントローラーは、Salmonによる定量、出力結果の検証、発現量マトリックスの作成、実行履歴と来歴情報の記録を担当します。

Harako-nativeワークフロー

  1. fastpによる前処理
    指定したコンテナを使用し、後続処理に用いるペアエンドFASTQを作成します。
  2. Parabricksによるアラインメント
    固定されたone-passまたはtwo-passの設定と、各プロファイルに定められた計算リソースを使用します。処理IDはPARABRICKS_RNA_FQ2BAMです。
  3. アラインメント出力の記録
    出力ファイルの役割、サンプル名、相対パス、ファイルサイズ、SHA-256ハッシュ値を、バックエンドに依存しないマニフェストへ記録します。
  4. FeatureCountsによるbiotype別QC
    GENCODE 49では-t exon -g gene_typeを使用します。
  5. MultiQCレポート
    定められたQC結果を集約し、各指標の元データを確認できるようにします。

Nextflow内ではSalmonを実行しません。Harakoコントローラーが、前処理済みのペアエンドFASTQを入力として、明示したライブラリタイプと6スレッドで定量を実行します。これにより、選択したSalmonプロファイルは1回だけ実行されます。

アラインメントのプロファイル

one-pass workstation

--two-pass-mode None --low-memory --quantMode TranscriptomeSAM GeneCounts --sjdb-overhang 74

Parabricksの処理にだけ42 GBと12 CPUコアを割り当てます。

two-pass high-memory

--two-pass-mode Basic --low-memory --quantMode TranscriptomeSAM GeneCounts --sjdb-overhang 74

Parabricksの処理にだけ96 GBと12 CPUコアを割り当てます。

再現性を保つため、解析ツールのパラメータや割り当てる計算リソースを、利用者が任意に変更することはできません。動的なメモリ増量やCPU版STARへの自動切り替えも行いません。

カウントとSalmon定量

固定したGRCh38.p14/GENCODE 49参照パックでは、FeatureCountsに-t exon -g gene_typeを使用します。この出力は遺伝子biotype別の集計に用い、STARのReadsPerGene.out.tabによるGeneCountsとは区別します。

Salmon 2.5.1は、新規解析で使用する既定のバージョンです。過去の解析との互換性を保つため、Salmon 1.10.3を選択することもできます。Salmon 1.10.3の反復実行では高い一致が得られましたが、数値は完全には一致しませんでした。

compare-bothモードでは、同じ前処理済みFASTQに対して両バージョンを順番に実行し、定量値の差と順位の一致度を比較します。

Salmonのバージョンを固定しない場合、ソフトウェアのバージョン、実装、インデックス、実行条件に由来する数値差が、実験条件間の生物学的な差と区別できなくなる可能性があります。これは、単純な丸め誤差だけを指すものではありません。

Harako-GPUではRunごとに、Salmonのバージョン、コンテナイメージ、インデックス、オプション、ライブラリタイプを記録・固定します。異なるSalmonバージョンで得た結果を、バージョン差を考慮せずに同一の解析データセットへ統合しないでください。

解析計画、実行、再開

実行前に、使用するワークフロー、プロファイル、コンテナ、参照データ、出力設定、計算リソース、実行環境、承認ハッシュを解析計画として記録します。準備段階でこれらの条件を再確認し、開始後はPID、ロックファイル、状態記録を用いて実行と再開を管理します。正常に完了したRunは再開できません。

GUIでの出力ファイルの詳細な検証やサポート情報の作成にも、コマンドラインと同じ解析計画・実行管理機能を使用します。

比較評価用の参照バックエンド

比較評価用の参照バックエンド(実行基盤)nfcore_rnaseq_3_26_referenceは、特定のnf-core/rnaseq 3.26構成を固定して維持しています。通常のHarako-nativeワークフローでは、参照バックエンドが必要とする追加のプラグインや多数のコンテナイメージを使用しません。

制約

  • 本ソフトウェアは研究用公開α版です。診断または臨床目的には使用できません。
  • 記載された実行環境と参照データでのみ検証しています。他のRTX GPU、異なるメモリ容量、カスタム参照配列、任意のFASTQデータでの動作を保証するものではありません。
  • CPU版STARとDESeq2は利用できません。CPU版STARと条件を揃えた速度比較も行っていません。また、すべての処理がGPUで実行されるわけではありません。
  • 解析結果の自動アーカイブと自動削除は実装していません。
  • テスト環境に対応ブラウザがなかったため、Ubuntu上の実ブラウザを用いた最終的なGUI操作確認は実施していません。ただし、アプリケーションテスト、HTTP応答確認、C1データを用いたone-pass/two-pass解析は完了しています。
  • 異なるハードウェア環境間での計算結果の完全な同一性や、出力の生物学的妥当性をground truthと比較する検証は行っていません。